13.日本気象学会裁判 >
a1)上告審の状況
CO2温暖化を問う2つの裁判(17)
2011年2月9日 原告槌田敦は、以下の報告を公表した。 気象学会による論文掲載拒否事件は、前回の報告で述べたように、昨年末、最高裁の「みくだり決定」で簡単に終了した。この「みくだり決定」には、 「原告の裁判を受ける権利が侵害された」と、この決定をした4人の最高裁裁判官を訴える方法が残されている。しかし、その時効は3年なので、ここであわてて決める必要はない。 ところで、原告は裁判での勝敗にはあまりこだわっていない。日本では、巨大借金の政府が、さらに国債を増額してCO2対策の財源を確保し、これにより企業は原発とエコポイントで、マスコミは企業広告で、学者は研究費優遇で、それぞれ儲けている。この時、救いようのない事件でない限り、裁判所だけが先行的判決をする訳がない。 ところで、世界は、今寒冷化に向けて大きく変わっている。各国議会は次々と政府のCO2対策の提案を否決している。企業は撤退してCO2価格が低迷し、シカゴ排出量取引所はこの1月に閉鎖された。学者は「そんなこと言ったっけ」という態度である。 日本も、いずれ、世界と同じになる。その時、このふたつの裁判は、御用学者たちが逃げることを許さない。彼らが、どのようなデタラメを言って反対する学者の名誉を毀損し、またその発言を妨害してきたか、という記録が裁判所に残ることになる。 これは、将来、学者世界の教訓として伝えられることになるであろう。 |
CO2温暖化を問う2つの裁判(16)
2010年12月28日 原告槌田敦は、以下の報告を公表した。 ▼2010年12月24日付で、最高裁から調書(決定)という文書が届いた。これはいわゆる「三行決定(みくだり決定)」で、ウィキぺディ7によれば最高裁判決・決定の9割以上という。事件名と日付と裁判官名を変えればすべてに通用する安直な文書である。 ▼上告人(原告)は、そのような事情を知らされないまま、上告理由補充書を書き、被上告人(被告)気象学会の反論を期待した。しかし、最高裁というところでは、被上告人は何もしなくてよいということを後に聞かされ、肩透かしを食らったと感じた。 ▼それだけではなく、この「みくだり決定」を見て、最高裁自体が上告理由書ばかりか、この上告人の書いた補充書を読んだかどうかさえ怪しいものだと感じた。日本は、三審制ではなく、二審制だということを知っているつもりではいたが、扉も開けないことがこれほどひどいものとは、実際にされてみなければ、実感できないのかも知れない。 ▼2009年5月27日に東京地裁に提訴した理由は、気象学会が政治的に都合の悪い論文を排除したこと、原告がその不法行為に黙ってはいないこと、を多くの人々に知ってもらうためだったから、負けることはもともと問題ではなかった。つまり、気象学会が返答に困ってのたうち回る様と、裁判所が気象学会という部分社会の秩序維持のため、言い繕いこじつける様を明らかにできればよいと思っていた。これはできたと思っている。 ▼地裁では、論文を採用しない理由について被告は「原告は気温変化という数年規模の短期的現象でもってCO2濃度増の長期的現象を論じている」であった。これに対し、原告は、 35年間にわたる気温とCO2濃度の関係事実を解析しており「誤読」であると反論した。地裁はこの争点について一切無祝し、 「投稿者から見て科学的には異論が十分にあり得たとしても、拒否行為が相応の科学的根拠に基づく以上、不法行為は成立しない」とした。つまり、双方に科学的根拠があるなら、学会の裁量権が勝つという論理である。 ▼そこで高裁では、控訴人(原告)は、気象学会には「査読制度に関する編集委員会の考え方と指針」という規則があり、自由には裁量できないと主張した。被告はこれに答えなかった。ところが、高裁は、地裁判決を全面的に採用し、この「考え方と指針」は単なる「考え方」であって、法的義務は発生しないと追加した。高裁は「指針」としての拘束力を無視したのであった。これが無視できないから困っている被告を助けたのである。 ▼本件の敗訴は、地裁での失敗にすべての原因がある。まず、 「誤読」という安易な主張に頼ったこと。また、「考え方と指針」による法的義務を強調せず、さらに、憲法違反に気づかなかったこと、である。そして、 50日という長い上告準備期間中に、最高裁の「みくだり決定」の存在すら勉強せず、最高裁に対してその予防をしなかったことである。 |
CO2温暖化を問う2つの裁判(15)
2010年12月8日 原告槌田敦は、以下の報告を公表した。 【第一論文掲載拒否事件】 2010年10月28日、最高裁判所に、代理人による上告理由書と上告受理申立理由書を提出したが、これらに加えて、11月22日に上告人による上告理由補充書を提出した。 その内容は、①学問の自由と本件の関係、②本件訴訟経過、⑨高裁判決における事実誤認、④裁判所による科学論争への介入、⑤本件違法行為の政治的動機、⑥結論、である。 高裁は、編集委員会作成の「査読制度に関する考え方と指針」について、単なる「考え方」とし、 「指針」としての拘束力を認めなかったのであるが、その結果、学術研究の成果の発表妨害という憲法23条違反事件となった。 添付書類 上告理由補充書 【第二論文提出と掲載拒否通知】 2010年9月14日、近藤と槌田は、 「大気中のCO2濃度増は自然現象であったⅡ・関連する事実と理論についての考察」と題する論文(第二論文)を気象学会に提出した。これは、2008年に投稿した論文の後半部分である。 しかし、気象学会編集委員会は、この第二論文の掲載拒否を11月22日に通知してきた。 この件については、第二事件となる可能性があり、後日まとめて報告する。 |
CO2温暖化を問う2つの裁判(14)
2010年10月28日 原告槌田敦は、以下の報告を公表した。 2010年10月28日、最高裁判所に、東京高裁判決では憲法第23条に違反するという上告理由書と民事訴訟法第318条1項による重要な法令違反という上告受理申立理由書を提出した。 この事件は、気象学会誌『大気』に、人為的CO2温暖化説を否定する論文を掲載しなかったものであるが、東京高裁は編集委員会のr考え方と指針」に法的拘束力がないとして編集委員会の自由裁量を容認した。しかし、その結果は、憲法第23条によって保障される「研究成果の発表の自由」が侵害されることになる。そしてこの憲法第23条の侵害が為されないようにするためにこの「考え方と指針」が存在し、そこには論文掲載の必要条件4項目が記載されている。これに法的義務がないとする高裁の判断は間違っている。 これらの理由書の提出により、本格的な最高裁における裁判が始まる。 添付資料 上告理由書、上告受理申立理由書 |
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