原告 準備書面(1)

2010/04/05 5:40 に 編集 Web が投稿   [ 2010/04/05 8:17 に更新しました ]
2010年4月5日

 原告 槌田敦は、以下の準備書面(1)を東京地裁に提出しました。

2010年4月4日   
009年(ワ)第47553号
 原告 槌田敦
 被告 東京大学外2名

原告準備書面(1)

東京地方裁判所民事部第26部 御中
原告 槌田 敦   

目次

第一、『地球温暖化懐疑論批判』出版の経緯と東大前総長小宮山宏氏のかかわり
第二、求釈明
  1、求釈明1、名誉毀損の成立に関して
  2、求釈明2、被告山本政一郎の経歴詐称について
  3、求釈明3、分担執筆者の明記など「当然の作法」について
第三、被告答弁書と被告準備書面(1)に対する反論

第一、『地球温暖化懐疑論批判』出版の経緯と
            東大前総長小宮山宏氏のかかわり

 問題の書物『地球温暖化懐疑論批判』(甲7または乙1、以下「本書」ともいう)の原型は、明日香、吉村両氏によるわずか10頁の私的印刷物「温暖化問題懐疑論へのコメント(以下「コメント」という)」Ver.1.1(2005.10.20)(甲7-2)である。これが下表のように何回か加筆されて、上記『地球温暖化懐疑論批判』となった。

 書証 題名 発行日 頁数 著者数
 甲7-2 温暖化問題懐疑論へのコメント Ver.1.1 05.10.20 10 2
 甲7-3 地球温暖化問題懐疑論へのコメントVer.2.0 06.2.1827
4
 甲7-4 地球温暖化問題懐疑論へのコメントVer.2.4 08.7.758
8
 甲7-5 地球温暖化問題懐疑論へのコメントVer.3.0 09.5.2198
10
 甲7-6 地球温暖化懐疑論批判(甲7、乙1)
 09.10.某日94
10
 書証 甲7-2 ~ 甲7-6 は、それぞれの印刷物の冒頭部分である。
                   
 この「コメント」Ver.1.1から本書への流れにおいて、「コメント」Ver.2.4までは、明日香氏らの私的印刷物である。しかし、次の「コメント」Ver.3.0および本書では、いわゆる「懐疑論者」の名誉を毀損し、また侮辱する文章が加筆されている。
 また、この加筆は、「CO225%削減」などの国の重要政策に深くかかわる小宮山氏(現三菱総研理事長)が、被告東京大学の総長であったころ、被告住明正教授に指示して、なさせたものであり、本件名誉棄損ないし侮辱に深く関係する。
 以下、詳述する。

1.『地球温暖化懐疑論批判』の出版経緯

 そもそもの発端は、経済学系の環境経済・政策学会での原告槌田敦の口頭発表に対する経済学者明日香寿川氏の口頭コメントである。この学会では、発表に対して必ず別人からのコメントをつけることになっている。
 明日香氏はこのコメントを「温暖化問題懐疑論へのコメント」Ver.1.1(2005年10月20日)として文書化した(甲7-2)。明日香氏は経済学者であるから、気象現象に関係する部分は、吉村純氏が書いたものと思われる。
 この「コメント」は、高千穂大学で開催された地球温暖化問題賛否討論会のために執筆者を増やして書き直され、「コメント」Ver.2.0となった(甲7-3)。それがさらに改定されて、「コメント」Ver.2.4(甲7-4)となった。ここまでは明日香氏を中心とする私的グループの印刷物である。
 ところが、これが東京大学の介入によりさらに書き直され、「コメント」Ver.3.0(甲7-5、2009年5月発行)となり、これが若干加筆されて、東京大学による本書『地球温暖化懐疑論批判』(甲7)として発行されることになった。

2.変質した内容

 この「コメント」が明日香氏を中心とする私的グループの印刷物であった段階(Ver.1.1からVer.2.4まで)では、懐疑論者ないし否定論者(以下「懐疑論者」という)として、いずれも原告を筆頭に 2名ないし 9名を名指ししているが、懐疑論または否定論に対する反論という目的で書かれている。
 たとえば、原告に対して「投稿論文が学術誌に掲載されない理由も、ただ単に水準が低いためであり、学会ファシズムといったような批判は被害妄想と自己過剰の賜物以外の何物でもない」(「コメント」Ver.2.4 p9)などといった悪口雑言があり、原告に対する名誉毀損ではあるが、私的やりとりの一場面に過ぎない。悪口雑言した執筆者には侮辱する意図があったとしても、この印刷物全体ではこのことを論述の目的としているとは考えられないから、この段階では原告は特に問題とはしない。
 しかし、「コメント」Ver.3.0以後のものでは目的が変質し、懐疑論者に反論することを口実にして、これらの者を名誉毀損および侮辱し、その科学者または評論家としての社会的評価を殺ぐことを目的にする文章を書き加えている(甲7-5)。
 すなわち、本件で問題となる名誉毀損ないし侮辱とは、懐疑論者として 12 名の者を名指ししたうえで、「懐疑的あるいは否定的な議論には次のような特徴を持つものが多い」として加筆した「9項目」である。この 9項目の内容は訴状で述べたように科学者または評論家としての失格を意味する。
 そして、その結論として「このような議論の多くは、これまでの科学の蓄積を無視しており、しばしば独断的な結論を読者に導いている」としている。
 「コメント」Ver.3.0(甲7-5)の発行日は2009年5月21日であるが、被告東京大学IR3S/TIGSの統括ディレクター住明正による本書『地球温暖化懐疑論批判』の「創刊にあたって」という文章の日付は、その直前の2009年5月14日である(甲7、甲7-6)。しかし、この文章は「コメント」Ver.3.0には存在せず、その入るべき場所のp.2は白紙となっている。
 また、この「コメント」Ver.3.0(甲7-5)において、p.3とp.4 に記載される Our missionの内、p.4 は白紙である。おそらく原稿から長文が削除され、頁を示す数字だけの白紙になったものと考えられる。p.5とp.6 は目次であって、p.7 以降の「はじめに」に続く。 つまり、当初は東京大学の出版物として5月発行を予定していたが、何らかの理由で明日香グループの私的印刷物の形式にあわてて戻したものと思える。そのために白紙の頁が2枚生じたのであろう。これは、後に述べる東京大学前総長小宮山宏氏の言う「5月(予定)出版」という談話と符号する(甲7-7)。
 『地球温暖化懐疑論批判』(甲7)は、この明日香グループの私的印刷物の形式をとった「コメント」Ver.3.0(甲7-5)を「原稿」として採用し、これに被告東京大学IR3S/TIGSの統括ディレクター住明正による「創刊にあたって」を書き加えたものである。Our mission の加筆はなされていない。
 そのように書き直した結果、実物の本書『地球温暖化懐疑論批判』(甲7、または甲7-6)の冒頭『はしがき』の左頁(p. )で「懐疑論者」を名指しし、これに対応する右頁(p. )で9項目の特徴を並べることにより、誰が見ても左頁の「懐疑論者」の議論が右頁の「特徴」と対応すると実感するように配列できて、名誉毀損または侮辱を強調できるように構成されている。
 すなわち、本書は、明日香氏らによる私的印刷物の「コメント」(甲7-2~4)に、東京大学の強引な介入によって科学者および評論家への名誉毀損ないし侮辱を書き加えることにより、得られたものである。

3.不法行為の成立

 すでに述べたように、「コメント」Ver.2.4までは、懐疑論に対する誤解や思考に欠け、また悪口雑言の記述があっても、科学論争をするという目的は維持されている。
 ところが、本書の原稿と見られる「コメント」Ver.3.0では、科学論争の形をとりながら、9項目の名誉毀損ないし侮辱の文章を付け加え、これにより科学者または評論家の失格を宣言する内容となっており、不法行為である。
 この「コメント」Ver.3.0の冒頭部分をそのまま引き継いだ本書は、東京大学により文部科学省科学技術振興調整費を用いて大量に印刷され、無料で配布され、そのうえ東京大学の名前でインターネットに全文印刷可能な形で公開された。
       http://www.ir3s.u-tokyo.ac.jp/sosho
 これを読むことにより懐疑論者を糾弾する多数のホームヘージは常に上位を保っている(甲12号証、甲12-2ないし甲12-10号証)。特に、甲12-10では、Our mission に加えて、9項目の「特徴」を全文引用して、「よく言ってくれました」と喝采している。
 このように東京大学はその影響力をふんだんに活用して、その不法行為を重大化したのである。
 そのために必要だったのが、「東京大学」という所属名を持つ分担執筆者であって、これに選ばれたのが、後に述べる被告山本政一郎(経歴詐称)だったという訳である。

4.不法行為または犯罪の動機

 被告東京大学による名誉毀損ないし侮辱という民法上の不法行為は、刑法上の犯罪に当たる。ではなぜ、東京大学がこのような不法行為、犯罪をすることなったのか。
 それは、人為的CO2温暖化説が全世界の政治課題となり、これに各国政府は莫大な予算を投じている。しかしながら、この人為的CO2温暖化説には最近綻びが目立ってきた。
 たとえば、大気中のCO2濃度が増え続けているというのに、温暖化ではなく、寒冷化の兆しが見えてきたこともそのひとつである(甲5-3号証)。また、IPCCの気温に関するデータに改ざんが噂され、現実にその事実が見つかったこともある(甲5-1号証、甲5-2号証)。そして、ヒマラヤの氷河が2035年には消滅するとしていたが、そのような事実のないことがすでに伝えられ、ついにIPCCもヒマラヤの氷河消滅を単なる憶測と認めることになった(甲5-4号証)。そして、最近ではマスコミの囲み記事にもなっている(甲5-5、5-6)。
 そして、日本国内でいわゆる「懐疑論者」の活躍が大きくなってきて、その書籍が書店に並ぶようになってきたこともある。さらに、人為的CO2温暖化説を否定する論文を掲載するかどうかで、気象学会が近藤邦明と原告槌田敦による共著論文の採用をめぐってもめていることもある(甲13号証)。これは、現在、東京高裁で係属中である。

5、東京大学前総長小宮山宏氏のかかわり

 この『地球温暖化懐疑論批判』出版のいきさつについて、東京大学前総長小宮山宏(現三菱総研理事長)は、「知の構造化で温暖化懐疑論に終止符を」と題するインタビュー談話を発表している(甲7-7)。
 この中で、小宮山氏は、「私が代表を務めるIR3Sという、大学機関をネットワークした組織で、懐疑論に反論する本を5月(予定)出版します」としている。この内容から、この談話は小宮山氏が東大総長に在任中に発表したものであることが分かる。
 そして、「東北大明日香寿川教授、(本学の)住明正教授が中心となって、しっかりと反論しています」とも述べている。つまり、小宮山東大総長(当時)は、明日香東北大教授の私的印刷物を基礎にして、被告東京大学IR3S/TIGS統括ディレクター教授住明正がこれに加わって、「懐疑論者」の活動を抑えるようにと指示したのである。
 これを受けて、被告住教授が中心となり、文部科学省科学技術振興調整費を使って、本書『地球温暖化懐疑論批判』を大量に印刷し、これを無料配布したのである。
 内容としては、明日香寿川氏を中心とする私的グループの書いた文集「地球温暖化問題懐疑論へのコメント」の前文に、「懐疑論者」を誹謗中傷、侮辱する「9項目」の特徴を書き加えたことである。
 そして、この出版物の目的を「創刊にあたって」と「はじめに」の間の「Our mission (軍用語でいう任務)」において、「懐疑的あるいは否定的な見解をとる議論が日本国内でも存在している。社会からの信頼にその活動基盤を置く科学者コミュニティは、こうした現状を座視すべきではないと考える」と記述し(甲7、甲7-6 p )、小宮山前東大総長による「温暖化懐疑論に終止符を」という指示(甲7-7)を具体化したものとなっている。
 では、なぜ小宮山前東大総長のいう「温暖化懐疑論に終止符を」打つために、このような科学者や評論家の名誉毀損や侮辱という不法行為ないし犯罪までしなければならないのだろうか。
 訴状でも述べたように、最近増えてきたとはいえ、人為的CO2による温暖化説に異を唱える者はわずかであるから、勝手に言わせておけばよいのではないか。そして反論する場合でも、科学の範囲に止め、個人攻撃などする必要はなかったのではないか。
 しかし、それでは「CO225%削減」という政策を支える重要人物、東京大学前総長小宮山氏にとっては心許ないのであろう。近年、人為的CO2温暖化説が揺らいでいることは前述したとおりだからである。
 そこで、小宮山氏の意を受けた被告住明正は、名誉を毀損し、または侮辱することが不法行為ないし犯罪となることを承知のうえ、本書『地球温暖化懐疑論批判』を発行することにより、名指しした12名の科学者または評論家の社会的評価を低下させ、その支持者を離反させようとしたと思われるのである。
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第二、求釈明

1、求釈明1、名誉毀損の成立に関して

結論

(1)、別表記載の67項の「議論」(「証拠」を含む)のどれが、本書冒頭の「はじめに」に記載された下記の9項目の「特徴」のどれに該当するか、別表の該当する空欄にその該当することを示す「○」印をつけるよう求める。

                                      記
◎1.既存の知見や観測データを誤解あるいは曲解している
◎2.すでに十分に考慮されている事項を、考慮していないと批判する
◎3.多数の事例・根拠に基づいた議論に対して、少数の事例・根拠をもって否定する
◎4.定量的評価が進んできている事項に対して、定性的にとどまる言説を持ちだして否定する(定性的要因の指摘自体はよいことであるものの、その意義づけに無理がある)
◎5.不確かさを含めた科学的理解が進んでいるにも関わらず、不確かさを強調する
◎6.既存の知見を一方的に疑いながら、自分の立場の根拠に関しては同様な疑いを向けない
◎7.問題のある現象の時間的および空間的なスケールを取り違えている
◎8.温暖化問題に関する取り決めの内容などを理解していない
◎9.三段論法の間違いなどロジックとして誤謬がある
(番号は、原告による加筆)

(2)、また、該当するとして○印をつけた「議論と特徴」について、その議論と特徴の関係が真実であることを被告準備書面により詳しく説明することを求める。
(3)、さらに、この 9項目の特徴は、本書『地球温暖化懐疑論批判』のために創作したものか、または他の文献から引用したものかについて、創作者名または引用文献を明らかにされたい。

理由

 本件は、訴状で示したとおり、被告東京大学学長浜田純一、被告IR3S/TIGS統括ディレクター住明正および被告東京大学職員山本政一郎(経歴詐称)が、被告東京大学の発行した『地球温暖化懐疑論批判』(甲7)において原告を含む12名のいわゆる「懐疑論者」に対し、科学者または評論家としての名誉を毀損することにより、その社会的評価を低下させ、その支持者の離反を策した事件である。
 本書では、冒頭の「はじめに」の左頁で、原告を含む12名を懐疑的あるいは否定的な言説をおこなう者として名指しした上で、その右頁の対応する場所に、「人為的排出二酸化炭素温暖化の信頼性や温暖化対策の重要性に対して懐疑的あるいは否定的な議論には次のような特徴をもつものが多い」として、9項目の特徴を挙げ、「このような議論の多くは、これまでの科学の蓄積を無視しており、しばしば独断的な結論に読者を導いている」と結んでいる(甲7、甲7-6号証 p.iv~v)。
 しかしながら、前記 9項目の特徴はいずれも「虚偽の事実」であって、それにより原告を含む12名のいわゆる「懐疑論者」の社会的評価を著しく低下させるものである。
 また、本書に書かれた反論のどれにも、懐疑論者それぞれの議論が前記 9項目のいずれかの「特徴」に該当するという記述はない。このことは、証拠を示さず科学者や評論家にはあるまじき 9項目の特徴というレッテルを、原告らに貼り付けたもので、科学者や評論家に対する名誉毀損である。つまり、事実を示さないで公然と人を侮辱したもので、刑法230~231条でいう名誉毀損罪または侮辱罪に当たる。
 影響力の大きい東京大学が、本書を大量に印刷し、これを不特定多数に送料を含め無料配布し、また東京大学のインターネットで公開したのであるから、なおさらである。
 そこで、名誉毀損でないと被告が主張するためには、原告らの「議論」や「証拠」において、9項目の特徴に該当する議論を提示する必要がある。そして、その「該当」することを十分に説明をする必要がある。これができないのであれば、科学者または評論家に対する名誉毀損が自動的に成立する。
 ところで、この 9項目の特徴は、本書で取り上げている懐疑論者の「議論」とは極めてなじみが悪い。そのようになる理由は、本書でとりあげている「議論」の主要部分の記述がほとんど確定したのは「コメント」Ver.2.4、08年8月である。それから 9カ月後の09年5月になって、9項目の特徴が「コメント」Ver.3.0の「はじめに」に突如挿入されることになった。つまり、この9項目の特徴という記述は、本書の作成の作業経過とはほとんど関係がないのである。
 したがって、これら 9項目の特徴という記述は、被告住明正または小宮山氏らが本書作成とは別に創作したもの、または他の無関係な文献から拝借したもの、など推察される。このことについて明らかにすることを求める。

2、求釈明2、被告山本政一郎の経歴詐称について

結論

(1)、本書『地球温暖化懐疑論批判』の分担執筆当時とその前後での被告山本政一郎の経歴を具体的に明記するよう求める。
(2)、被告山本が、本書において主体的に分担執筆した文章の範囲を明示されたい。
(3)、この被告山本が主体的に執筆した文章と関係する被告山本の執筆したメモなどのコピーがあれば提出されたい。

理由

 東京大学の出版した問題の本書『地球温暖化懐疑論批判』(甲7、甲7-6)によれば、著者の欄(p. )に「東京大学 山本政一郎」とある。しかし、被告代理人は、答弁書において「被告山本政一郎が当時被告東京大学の職員であったことは否認」すると記述する(答弁書 p2)。
 本書において、被告山本は唯一東京大学に所属することを名乗る執筆者であり、これがなければ本書を東京大学の研究成果発表のためのものとすることはできない。しかし、答弁書は、被告山本の「経歴詐称」であることを認めたのである。
 原告の調査によれば、被告山本は、東京大学には在籍せず、つくば市に存在する独立行政法人産業技術総合研究所に所属する。そして、彼には博士論文はなく、ただひとつ存在する彼の論文は経済学者と新聞記者との共著論文であって、新聞報道の正誤を論ずるものであり、およそ科学論文と言うことはできない。
 したがって、問題の本書『地球温暖化懐疑論批判』の執筆者名簿で、さも東京大学の研究者であるかのように装うのは二重の経歴詐称ということになる。
 そこで、前記求釈明2(1)~(3)のとおり、本書の分担執筆当時とその前後での被告山本の経歴や被告山本の分担執筆した部分について具体的に明記するよう求める。
 いずれにしても、被告山本は、本書の主要メンバーではなく、本書を出版するという目的のためだけに、特に追加された執筆者ということになり、この「著者一覧」での被告山本政一郎の扱いは「虚偽」である。
 ではなぜ、このような経歴詐称をしたのか、それは本書を東京大学の出版物として権威づけたかったからと思われる。
 ところで、東京大学には多数の権威ある気象学者がいるのに、なぜ、博士号を持たない、さらには科学論文をひとつも書いたことのない被告山本が東京大学の研究者を代表する人物として選ばれたのであろうか。
 おそらく、権威ある東京大学の気象学者たちはこの明日香グループによる私的印刷物『地球温暖化問題懐疑論へのコメント』に加担することを断ったのであろう。この印刷物の学術的内容が低劣だから当然である。
 気象学の権威のひとりである被告IR3S/TIGS統括ディレクター教授住明正でさえ、その役割を自分で果たそうとはせず、これを被告山本に押し付けたのである。このことは、前述した小宮山総長(当時)の「明日香教授、住教授が中心となってしっかりと反論しています」という期待を裏切ることになっている。
 原告はこの被告山本の経歴詐称問題を第1回口頭弁論(10.2.23)で質問し、被告は準備書面1を提出した。これによれば「被告山本が本書を分担して執筆した当時、被告東京大学の大学院生ないし客員共同研究員という身分を有していた」とある。客員共同研究員というのは、博士過程終了後で失職中の、いわゆるポストドクターまたはオーバードクターのことであろうか。
 すでに述べたように、被告山本には博士論文はもちろん科学論文はひとつもなく、ただひとつ存在するのは新聞記事の正誤について経済学者と新聞記者との共著論文である。しかし、この時期、被告山本は、博士過程の終了を控えて、自身の科学論文を多数書く必要があり、またそのひとつを博士論文として提出しなければならない段階である。
 したがって、本書『地球温暖化懐疑論批判』を分担執筆する余裕など被告山本にはなかった筈である。それにも拘わらず、東京大学を代表して本書を分担執筆したことには、うかがい知れない「なぞ」が存在する。
 そこで、本書の分担執筆当時とその前後での被告山本の経歴を具体的に明記するよう求める。これに加えてこの分担執筆した話題と関連する被告山本の執筆したメモなどのコピーがあれば提出されたい。
 ところで、このような虚偽をしなければならないことに、この本書『地球温暖化懐疑論批判』のやましい名誉毀損という目的が浮き彫りとして見えることになる。

3、求釈明3、分担執筆者の明記など「当然の作法」について

結論

(1)、本書『地球温暖化懐疑論批判』は多数の執筆者による記事を編集したものであるにかかわらず、通常科学書の「当然の作法」に反して、その編集者氏名が記載されていない。また巻頭と末尾の記事についても執筆責任者氏名が書かれていない。これらを明記することを求める。
(2)、本書は、その主題である第3章の要約された「議論」と「証拠」、および「反論」において、「懐疑論者」の氏名を名指ししながら、通常科学書の「当然の作法」に反してその執筆責任者の氏名を記していない。それぞれ明記するよう求める。
(3)、なお、本書『地球温暖化懐疑論批判』が科学論争のためのものならば、本書において名指しされた12名の懐疑論者に「当然の作法」として本書を送付することになる。ところが、本書を一般の不特定多数には注文により無料で送付しながら、名指しされた者には誰にも送付しないばかりか、原告から送付の催促が繰り返しなされても(甲9-3、9-4)、この「当然の作法」としての送付を拒んだ。その理由を説明されたい。

理由

 本書は多数の執筆者による記事を編集したものであるにかかわらず、その編集責任者氏名が書かれていない。また、巻頭と末尾の記事について執筆の責任者氏名が書かれていない。また、本書は、その主題である第3章において、その要約された「議論」、「証拠」と「反論」ではその執筆責任者氏名が記されていない。
 科学論争とは、学会など公的な場や出版物で、自らの氏名や所属を明らかにして、対等の立場でなされるものである。ところが、今回の事件では、東京大学の出版物という公的な場を利用して12名の懐疑論者の「議論」を批判をしているのに、その「当然の作法」としての批判者の氏名を明らかにしていない。
 そこで、これを名指しされた者に知らせるよう、被告東京大学および本書の執筆代表と考えられる明日香氏に求めた(甲9-4、甲10-1、10-2、10-4)。しかし、被告東京大学は返事もせず、また明日香氏はこれを拒否した(甲10-3)。このようなことは、科学論争ではありえないことである。そこで、遅ればせではあるが、それぞれの話題ごとに執筆責任者の名前を明らかにすることを求める。
 一般社会でも、名指しして攻撃するのにその執筆責任者の名前を記さないことは攻撃しても自らは反撃されないようにする「卑怯者(名無しの権兵衛)」の行為と見なされる。それは科学論争の場合も同じであって、これを明記しないことは本書の目的が、科学者および評論家に対して科学論争をすることではなく、その名誉を毀損することであることについてある種の「後ろめたさ」を示すものであることを指摘する。
 なお、科学論争をするのであれば、批判された者に批判した内容を送付するのは「当然の作法」である。しかしながら、本書をいずれの懐疑論者にも送付していない。
 このことは、本書が科学論争のための書物ではなく、懐疑論者の科学者としての評価を貶めるため書物であることについて、被告東京大学自身が承知し、これを自覚していることを示している。.

第三、被告答弁書と被告準備書面(1)に対する反論

 被告は、本年2月16日に答弁書を提出し、3月8日に準備書面(1)を提出したのでこれらに反論する。

1、被告山本政一郎の経歴詐称について

 第二の2、求釈明2において前述したとおりである。

2、科学論争で対象を明確化するのは「当然の作法」という被告の主張について

 被告答弁書において「原告外の見解に対して反論・論評を行うにあたり、その対象を明確にするための記述であり、科学の文献における当然の作法である」(答弁書 p3)と主張する。
 この「当然の作法」について、前記第二の3、求釈明3に記したように自らは「当然の作法」を果たさない被告が、この「当然の作法」という言葉を用いることは笑止であろう。
 また、二番目に名指しした薬師院氏について、本書の「議論」および「証拠」に「薬師院」という記述が見当たらない。これは「当然の作法」どころか、二番目に名指ししておきながら薬師院氏の「議論」には一切言及せず、薬師院氏に「ロジックとして誤謬がある」などとのレッテルを貼り付けたもので、これこそ「ロジックとして誤謬がある」のではないか。 さて、原告が不法行為としているのは論争の対象を明確にしたことではない。複数の対象人物を名指しし、その「議論」および「証拠」を一方的にかつ不適切に要約したうえ、9項目の「特徴」なるものを総括的に貼り付けたことを名誉毀損としているのである。答弁書ではこれを別々に論じてごまかそうとしている。
 しかし、このごまかしにより、「名指したこと」と「9項目の特徴を指摘したこと」との結合について抗弁しなかったことは、民訴法159条①により「相手の主張した事実を争うことを明らかにしない場合」として、「その事実を自白したものとみな」されることになる。

3、9項目の特徴についての答弁書の主張

 被告は答弁書において、「懐疑的あるいは否定的な議論の特徴として 9項目があげられている」と述べ、「この部分は、懐疑的あるい否定的な見解が存在することを前提に、同見解に対する反論・論評を記載した部分」という。そしてこのことを、「学者が自説と異なる見解に反論し、その論拠を挙げること」としている(答弁書 p4)。
 これは「特徴」ということばを「論拠」ということばに置き換えただけのことであって、説明したことにならない。このようなことばの置き換えによって、被告の不法行為を隠すことができる訳はない。

4、答弁書でいう「公共の利害」について

 被告は答弁書において、「『地球温暖化懐疑論批判』の内容は、地球温暖化という公共の利害に関する事項」についての論評であり(答弁書 p3)、また「地球温暖化問題という公共の利害に関する事項についての見解」(答弁書 p4)ということばを使って、公益性を強調し、名誉毀損や侮辱という不法行為ではないかのように主張する。
 この議論は倒錯している。公共と名誉毀損との関係は、たとえば公務員の行為を一般人が批判するとき、公共ということでこれを名誉毀損とはしない場合に用いられる。しかし、公的機関である東京大学が一般人を批判する場合に、公共を理由に一般人への名誉毀損が免責されることはありえない。
 さらに、東京大学という公共の機関が公共を主張するのであれば、相反する意見を対等に扱うことが必要である。東京大学小宮山総長(当時)の言うように「温暖化懐疑論に終止符を」(甲7-7)求めて、一方的な意見のみを評価し、他の意見を悪し様にいうことこそ、公平性を欠き、公共に反する行為をしたことになる。

5、答弁書でいう原告の指摘するブログの被告側の「不知」について

 被告は、「原告が指摘するブログの存在及び内容については不知」という(答弁書 p4)。しかし、被告はこの『地球温暖化懐疑論批判』という書物をインターネット上で公開したのが2009年10月28日、その直後、最初の反応がこの「ブログ(kikulog)(10月28日)」(甲12)であり、これを「知らない」筈はない。それを「不知」というのはその内容の「すざまじさ」ゆえにその対応に困ったからであろう。
 その後も、この kikulog と同じようなブログは続く。インタネットにおいて、「懐疑論者」に対するこの 9項目の「特徴」を前提に、09年10月29日から12月7日までの1カ月半に「懐疑論者」を揶揄するブログは数多く存在した。その中からいくつかを例示する(甲12-2~12-10)。
 このことは、本書により名指しされた12名の「懐疑論者」は、本書またはホームページそしてブログのそれぞれの読者が、虚偽の「特徴」による誤った評価を植え付けられたことを示しており、それが幅広く読まれることにより、その名誉を著しく傷つけられたことを付け加えておく。

6、東京大学の「不誠実な対応」について

 答弁書は、「東京大学サステイナビリティ学連携研究機構名ですでに返答」しているとして、原告槌田に対して東京大学は重ねて返答しなかったと主張する(答弁書 p4)。
 しかし、原告が東京大学に問いかけた内容は、東京大学IR3S(サステ機構)の行為に対して、上部機関であり監督者でもある東京大学総長の判断やその他の問題を問う内容などとなっている(甲9-1~5)。したがって、被告の主張は成立しない。
 東京大学が原告の問い合わせに一切返事をしないという不誠実な対応をしたからこそ、原告は提訴する以外にとるべき手段がなくなったのである。

7、答弁書でいう「我々の機構の研究成果」について

 被告答弁書によれば、東京大学IR3S(サステ機構)の返答として、名指しされた者による「回答書」の発行について「槌田さんがどのように反論されるかは御自由ですが、我々の機構の研究成果として発表されることは出来かねます」という(答弁書 p4)。
 しかし、原告の調査によれば被告山本政一郎は、本書執筆当時、1本の科学論文も書いていない大学院生であるのに、東京大学に所属する権威ある研究者であるかのように詐称しているのであるから、本書『地球温暖化懐疑論批判』は東京大学の研究成果とは言えない。
 また、東京大学IR3S(サステ機構)の外部の参加機関は、被告住明正による「IR3S/TIGS叢書の創刊にあたって」(p. )によれば京都大学、大阪大学、北海道大学、茨城大学であって、どの執筆者もこれらの機関には所属していない。
 サステ機構の協力機関には執筆者の一部が所属するが、本体が不存在で「協力機関」だけでは「我々の機構の研究成果」と主張することはできない。しかも、この『地球温暖化懐疑論批判』の主要部分は、「コメント」Ver.2.4(2008年7月7日)の段階で完成しており、東京大学とは一切関係がないのである。
 したがって、東京大学の研究成果ではないのに、本書『地球温暖化懐疑論批判』を東京大学の名前で発行したのであるから、名指しされた者による「回答書」を、その名誉を回復するために東京大学の責任で発行することも可能ということになる。
 むしろ、一方的見解だけを東京大学が出版配布するのではなく、これと対立する見解も公平に出版配布することこそ、学術的に意味があり、公共機関としての東京大学のすべきことである。

8.結論

 上述したように、東京大学による本書『地球温暖化懐疑論批判』の発行とその電子版の影響は絶大で、懐疑論者を糾弾する多数のホームページが常に上位を占めている(甲12、12-2~12-10号証)。その結果として、東京大学の強大な影響力により、名指しされた者に対する名誉毀損ないし侮辱の、本書や電子版や読者ホームページの読者に与える影響は計り知れないことになった。
 よって、東京大学という影響力のきわめて大きい組織による著しい名誉毀損事件として、この名誉毀損による原告らの名誉回復のため、まずは第二、求釈明で述べたように徹底した事案解明を求める次第である。

以上  
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2010年4月1日  
2009年(ワ)第47553号
 原告 槌田敦
 被告 東京大学外2名

証拠説明書

東京地方裁判所民事26部 御中                             
原告 槌田敦  

 甲号証 表目(原本・写、作成年月日)、
立証趣旨
 作成者
 甲5-3 「地球の気候 当面寒冷化」、
人為的CO2温暖化説の綻びの例
 日本経済新聞
  09.2.2(写)
 甲5-4 『ヒマラヤの氷河 25年後消滅根拠なし?』、
人為的CO2温暖化説の綻びの例
 朝日新聞
  2010.1.19(写)
 甲5-5  『国際通信 温暖化は疑わしい?』、
人為的CO2温暖化説の綻びの例
 東京新聞
  2010.2.20(写)
 甲5-6 「温暖化 揺らぐ客観性」、
人為的CO2温暖化説の綻びの例
 日本経済新聞
  2010.3.10(写)
 甲7-2 『温暖化懐疑論へのコメント」Ver.1.1 p1~2(写、2005年10月20日)、
『地球温暖化懐疑論批判』の発行にいたる経緯について
 明日香寿川外1名
 甲7-3 『地球温暖化懐疑論へのコメント」Ver.2.0 p1~2(写、2006年2月18日)、
『地球温暖化懐疑論批判』の発行にいたる経緯について
 明日香寿川外3名
 甲7-4 『地球温暖化懐疑論へのコメント」Ver.2.4 p1~4(写、2008年7月7日)、
『地球温暖化懐疑論批判』の発行にいたる経緯について
 明日香寿川外7名
 甲7-5 『地球温暖化問題懐疑論へのコメント」Ver.3.0 p1~4、p7~8
 (写、2009年5月21日)、
『地球温暖化懐疑論批判』の発行にいたる経緯について
 明日香寿川外9名
 甲7-6 『地球温暖化懐疑論批判』(甲7号証)扉~p.v(写、2009年10月某日)、
『地球温暖化懐疑論批判』の発行にいたる経緯について
 明日香寿川外9名
 甲7-7 「知の構造化で温暖化懐疑論に終止符を」
 p2~3は、原文p1の拡大コピー(写、09年3月31日以前)
 「地球温暖化懐疑論の終止を」求めて、東大IR3Sが本を出版することにした事実。
 小宮山宏
 甲12-2

12-10
 インタネットに投書された本書の感想(写、09年10月29日~12月7日)、
ブログ読者に懐疑論者への誹謗中傷拡大の例
 作成者多数

Ċ
編集 Web,
2010/04/05 7:17
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