解説 たんぽぽ舎メールマガジンから転載

2012/03/17 2:36 に ユーザー不明 が投稿   [ 2012/03/17 2:36 に Web編集 さんが更新しました ]
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  槌田敦氏が東大を名誉毀損、憲法違反で裁判に訴えた経緯
     二酸化炭素温暖化説への疑問・否定説への不当な攻撃に反論

                     たんぽぽ舎会員 近藤恭彦
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 東京大学による名誉毀損裁判は、槌田エントロピー理論で有名な物理学者で、たんぽぽ舎でもしばしば講演をなされている槌田敦氏が、東京大学を名誉毀損、及び憲法違反で訴えた事件です。
 東京大学は、文部科学省科学技術振興調整費を用いて槌田敦さんら12名の二酸化炭素温暖化懐疑論者(もしくは否定論者)の主張に対する一方的な批判を誹謗中傷のレベルで載せた『地球温暖化懐疑論批判』(IR3S/TIGS)という書物を作り、反論の機会を与えずに大量に印刷して東大の大きな販路を利用して無料配布しました。書物以外にインターネットでも全文印刷可能な形で公開されました。
 本書の「はじめに」の部分で、10項目で9つの特徴を挙げて攻撃しています。そして、その後に「このような議論の多くは、これまでの科学の蓄積を無視しており、しばしば独断的な結論に読者を導いている。温暖化のリスクが増大している状況下で、このような議論が社会に広まることを科学者としては看過できない。・・・」と、あります。12人の懐疑論者は、科学者としての資質に欠けて、社会正義に反する・・という事を印象付けた内容です。この形態は、明らかに科学論争ではなく、誹謗中傷、吊るし上げです。
 「二酸化炭素地球温暖化仮説」は、まだ『仮説』であるにも関わらず、ほとんどの科学者の認めた共通認識であり、懐疑論者は『悪』であり、いい加減なことを言う詐欺師である」と言うような物言いです。「すでに合意のある二酸化炭素温暖化説を疑うことはけしからん反社会行為である、反論の機会など与える必要は無い。」というスタンスです。これが学問論争の筈が御座いません。反論の機会を与えず、論争しようという姿勢の片鱗もありません。そしてその決めつけを、東京大学の名のもとに、税金を使って書物の形にし、無料配布したのです。

 それに対して槌田敦氏が、反論を掲載して欲しい旨を要求しても、東京大学(・・の名の下に集まった人々・・)は無視を決め込みました。そこで槌田敦さんはやむなく裁判という手段に出たのです。
 二酸化炭素地球温暖化説は、二酸化炭素の増加が地球温暖化の主因であるという「説」です。これは、まだまだ「仮説」の領域です。確固とした証拠もありません。正しいか間違っているかは、科学論議、そして最終的には事実が決着をつけるべき事です。一方的に二酸化炭素温暖化懐疑論を「悪」と決めつけ、国立の東大の名前の冠を付けて発表する手法は学問論争などではなく、姑息な誹謗中傷、名誉毀損の範疇です。そして、槌田敦さんは、このような事を公共機関である国立大学が行う事は、学問の自由、表現の自由に対する攻撃であり、憲法違反だと主張しているのです。

 時代背景としては、二酸化炭素排出権取引の低迷やIPCCの不正事件・・国策の科学の研究者は、潤沢な研究資金を得られ、多数派となり、それに批判的な科学者は、研究資金も得られず、研究発表の場からも排除され、身分上も差別される現実を、槌田敦さんは身をもって体験して来ました。今回はその事を世に問うた裁判と言えましょう。
 国策の科学の典型例が、原発と二酸化炭素地球温暖化説です。この2つの国策は同根です。「原発稼働時にCO2を出さない原発推進」の為に、二酸化炭素温暖化仮説が台頭した事は歴史を辿れば明らかです。

出典:たんぽぽ舎メールマガジン(No.1360 2012年2月24日配信) nonukes@tanpoposya.net

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